ChatGPTをとりあえず使ってみたが、便利な翻訳ツール止まりになっている。そんな声をよく聞く。ビジネスでの活用は「何ができるか」よりも「何に使うか」の設計が重要だ。
事例1 提案書の骨格をChatGPTに作らせる
新規案件の提案書を作る作業は、構成を考える段階が最も時間がかかる。ChatGPTに案件の概要と顧客の課題を伝え、提案書の構成案を出させる。
出てきた構成を土台にして、自社の強みや具体的な実績を肉付けしていく。構成に30分かけていた作業が5分に短縮された。浮いた時間で提案の中身を練り込めるので、提案書全体の質も上がる。
注意点は、ChatGPTが出した構成をそのまま使わないこと。顧客固有の事情や過去のやり取りの文脈は、人間が追加する。
事例2 顧客対応マニュアルの作成を効率化
カスタマーサポートのマニュアルは、更新が追いつかないことが多い。新商品が出るたびにFAQを追加する必要があるが、手が回らない。
ChatGPTに商品の仕様書を渡し、想定される質問と回答のペアを生成させる。出力をサポートチームがレビューし、実際の問い合わせパターンに照らして修正する。マニュアルの初稿作成にかかる時間が大幅に短縮された。
事例3 市場調査の下調べを効率化
新規事業の検討で、まず市場の概要を把握する必要がある。ChatGPTに「市場規模、主要プレイヤー、トレンド、課題」を聞くと、初期的な情報を素早く整理してくれる。
ここで得た情報は出発点として扱い、一次情報源で裏を取る。ChatGPTの情報には更新の遅れや不正確さがあるため、そのまま意思決定に使うのは避ける。しかし、調査の方向性を定めるためのブリーフィングとしては十分に使える。
AI導入の計画全体は、AI導入ロードマップの記事で整理している。
事例4 社内のブレスト会議の質を上げる
ブレストで意見が出きらないとき、ChatGPTに「このテーマで考えられるアイデアを20個出して」と依頼する。出てきたアイデアすべてが使えるわけではないが、チームが思いつかなかった切り口が含まれていることがある。
AIのアイデアを叩き台にして、チームで議論を深める。「このアイデアをうちの業界に適用するとどうなるか」「ここを変えたら面白くなるのでは」。AIの出力がブレストの呼び水になる。
事例5 メール文面の個別対応を高速化
営業メールの文面を顧客ごとにカスタマイズしたいが、1通ずつ書くと時間がかかる。ChatGPTに顧客の業種、課題、過去の接点情報を渡し、個別対応の文面の下書きを作らせる。
「株式会社○○ 製造業 前回のご相談内容:工程管理のDX」と入力するだけで、その文脈に沿ったメール文面の候補が出てくる。担当者はそれを微修正して送信する。1通あたりの作業時間が半分以下になった。
メールマーケティングの改善全般は、メールマーケティングの記事も参考になる。
ChatGPTは万能ではないが、万能でなくても役に立つ
完璧な出力を期待すると失望する。しかし、作業の初速を上げるツールとして使うなら、ChatGPTの費用対効果は非常に高い。ゼロからイチを作る作業をAIに任せ、イチから十に磨き上げる作業に人間が集中する。この分業がビジネスでのChatGPT活用の基本形だ。