生成AIの活用事例は世の中に溢れているが、読み終わったあとに「で、自分はどうすれば」となることが多い。大企業の大規模導入事例は参考にしづらいし、汎用的なハウツーは抽象的すぎる。ここでは、マーケティング担当者が明日から試せるレベルの活用法を、導入の手軽さを基準に紹介する。
方法1 メール配信の件名と本文の下書き生成
メールマーケティングの成果は件名で半分が決まる。開封されなければ本文がどれだけ良くても意味がない。
生成AIに、自社の商品やキャンペーン内容を伝えたうえで、件名の候補を10パターン出させる。その中から惹かれるものを選び、自社のトーンに合わせて手直しする。この作業を人力でやると30分かかるが、AIを使えば5分で候補が揃う。
本文についても同様だ。伝えたい要素をAIに箇条書きで渡し、メール文として整形させる。構成の叩き台としてはAIの出力は十分に使える。注意すべきは、AIが作った文面をそのまま送らないこと。自社でしか言えない具体的なエピソードや数字を手動で追加する。
方法2 ブログ記事と長文コンテンツの構成案作成
記事を書く際に最も時間がかかるのは、書き始める前の構成を考える段階だ。何をどの順番で書くか。この組み立てにAIを使うと、執筆のスピードが上がる。
対策キーワードとターゲット読者の情報を渡して、見出し構成の候補を出させる。AIが提案した構成を下敷きにして、自分の知見や経験を加えていく。完成品をAIに書かせるのではなく、設計図をAIに描かせる使い方だ。
SEO対策の観点では、AIに競合記事の構成分析を依頼することも有効だ。上位表示されている記事の見出し構成を渡して、自社のコンテンツに足りない切り口を指摘させる。ただし、競合の模倣ではなく差別化の材料として使うことが前提になる。
方法3 SNS投稿のバリエーション展開
ひとつの情報を複数のSNSプラットフォームに合わせて出し分ける。この作業は手作業でやるとかなりの手間だ。
たとえばブログ記事を1本書いたとする。その内容を元に、X用の140字投稿、Instagram用のキャプション、LinkedIn用のビジネス向け投稿をAIに生成させる。各プラットフォームのトーンや文字数に合わせた変換は、AIが得意とする作業だ。
週に1回、発信したい情報をまとめてAIに変換させ、予約投稿ツールにセットする。この流れを仕組みにすれば、SNS運用の工数は大幅に削減できる。
SNSマーケティングの自動化についてより詳しくは、SNSマーケティング自動化の記事で整理している。
方法4 顧客データの分析と仮説立案
顧客データは持っているが分析に手が回っていない。そんな企業は少なくない。生成AIにCSVデータを渡して、購買パターンの傾向を要約させることが可能だ。
すべてのデータを渡す必要はない。個人情報を除外した購買履歴やアクセスログを渡し、「この顧客群にはどんな共通点があるか」「リピート率の高い顧客とそうでない顧客の違いは何か」といった問いを投げかける。
AIの分析結果は仮説として扱い、その仮説を自社のデータや経験で検証する。AIは分析のスピードを上げてくれるが、最終的な判断は人間がする。
方法5 競合調査と市場リサーチの効率化
競合のWebサイト、広告、SNSをチェックして動向を把握する作業は、マーケティングの基本だが手間がかかる。生成AIを使うと、このリサーチの効率が上がる。
競合のサービスページのテキストをAIに読み込ませ、訴求ポイントの要約や差別化ポイントの分析を依頼する。業界のトレンドレポートを要約させ、自社への示唆を整理する。こうした使い方は、リサーチにかかる時間を削減しつつ、得られる情報の整理度を高めてくれる。
注意したいのは、AIの知識には時点があるということだ。最新の情報は自分で確認し、AIは過去の情報の整理と構造化に使うというすみ分けが必要になる。
AI導入全体の進め方については、AI導入ロードマップの記事で段階ごとに解説している。
使い始めることでしかわからないことがある
生成AIの活用法は、読んで理解するだけでは身につかない。5分でできる方法1のメール件名生成から試してみてほしい。実際に使ってみると、どこが便利でどこに限界があるかが体感でわかる。その体感が、次の活用へのヒントになる。