ECサイトのCVR改善は、大きな投資がなくても取り組める。ここで紹介する事例はいずれも、既存のサイト上での改善によって成果を出したものだ。
施策1 商品ページの情報構成を見直してCVRを改善
健康食品を扱うECサイトでは、商品ページの離脱率が課題だった。商品情報は網羅されているが、顧客が知りたい順番に並んでいなかった。
成分表や原材料の情報がページ上部にあり、「この商品を使うとどうなるか」という顧客が最も知りたい情報が下部に押し込まれていた。表示順を変え、利用シーンと体験者の声を上部に配置したところ、ページの滞在時間が延び、カート投入率が改善した。
テクニカルな変更は一切していない。情報の並び順を顧客視点に変えただけだ。
施策2 選択肢を3つに絞るプラン設計
サブスクリプション型のコスメECでは、5つのプランを用意していた。価格帯は990円から3,980円まで。選択肢が多すぎて顧客が迷い、プラン選択ページでの離脱率が高かった。
プランを3つに絞り、真ん中のプランを「一番人気」として視覚的に強調した。心理学でいう極端回避の法則が働き、真ん中のプランの選択率が上がった。結果的に客単価も向上した。
消費者心理を活用したCVR改善の考え方は、購買心理CVR改善の記事で整理している。
施策3 レビュー表示方法の改善で購買不安を解消
アパレルECでは、レビューは集まっていたが商品ページでの表示方法に問題があった。レビューがページの最下部にまとめて表示されており、わざわざスクロールしないと読めなかった。
レビューから代表的なキーワードを抽出して商品画像の下にハイライトで表示するようにした。「サイズ感ぴったり」「生地がしっかり」「普段Mですがこれもリピ」。購入を迷っている顧客が知りたい情報がすぐに目に入る。
この変更で商品ページからの購入率が改善した。レビューを集めるだけでなく、どう見せるかが重要だという事例だ。
施策4 カゴ落ちのタイミング分析と対策の自動化
インテリア雑貨のECサイトでは、カート投入後の購入完了率が低かった。AIを使ってカゴ落ちのタイミングを分析したところ、カート投入から4時間後に離脱が集中していることがわかった。
カート投入から2時間後にリマインドメールを送る自動フローを設定した。件名に商品名を含め、メール内に在庫状況と送料無料の条件を記載した。このフローを導入してから、カゴ落ちの回収率が安定的に改善した。
施策5 決済方法の追加で離脱を防いだ
食品ECサイトで、決済ページでの離脱率が高かった。分析の結果、クレジットカード決済しか用意していないことがボトルネックだった。ターゲットの年齢層には、キャリア決済やコンビニ払いを好む顧客が一定数いた。
決済方法をPayPay、コンビニ払い、キャリア決済の3つ追加したところ、決済ページでの離脱率が下がり、全体のCVRが改善した。
技術的には決済プロバイダーの追加だけで済む変更だったが、効果は大きかった。顧客が使いたい支払い方法がないという理由だけで離脱する人は、想像以上に多い。
AI導入で成果を出すためのステップは、AI導入ロードマップの記事で整理している。
CVR改善は小さな改善の連鎖から始まる
紹介した5つの施策に共通するのは、投資額が小さいことと、顧客視点で設計されていることだ。CVR改善に魔法の杖はない。ページの構成、選択肢の数、レビューの見せ方。こうした細部を一つずつ最適化していくことが、着実な成果への道だ。