メールマーケティングは古い手法だと思われがちだが、BtoBでもBtoCでも依然としてROIの高いチャネルだ。問題は、昔と同じやり方で運用し続けていることにある。AIを組み合わせることで、メール施策の歯車をもう一段回すことができる。
方法1 件名のA/Bテストをより速く回す
メールの開封率は件名で決まる。これはメールマーケティングの基本中の基本だが、件名のテストを毎回手作業で行うと、テストの頻度が上がらない。
生成AIに件名の候補を10パターン出させ、5パターンに絞ってA/Bテストを回す。勝者の件名パターンを学習して、次回のテスト候補に反映する。このサイクルを月1回から週1回に上げるだけで、開封率の改善スピードは加速する。
件名の良し悪しは業種やターゲットによって異なる。自社のデータに基づいた件名テストを継続することが、他社には真似できない知見の蓄積になる。
方法2 配信タイミングを顧客ごとに最適化する
全顧客に同じ時間にメールを配信している場合、AIを使ったタイミング最適化で開封率の改善が見込める。
過去の開封データを分析し、顧客ごとにメールを開きやすい曜日と時間帯を特定する。MAツールによっては、この最適化機能が標準搭載されているものもある。搭載されていない場合でも、セグメントごとに配信時間をずらすだけで効果は出る。
朝の通勤時間、昼休み、夜の帰宅後。開封されやすい時間帯は個人によって異なる。この個人差を考慮できるかどうかで、同じメールでも反応率に差が出る。
方法3 セグメントの切り方を見直す
年齢、性別、地域。従来のセグメントでメールを出し分けていても、反応の改善幅には限りがある。AIを使うと、行動ベースのセグメントが作れる。
過去30日間にWebサイトを訪問した人、特定の商品ページを3回以上閲覧した人、カートに商品を入れたが購入しなかった人。こうした行動に基づくセグメントは、顧客の購買意欲の温度感を反映しているため、メッセージの精度が上がる。
行動セグメントの設計にAIを活用すると、人間では気づかないパターンが見えることがある。たとえば、特定のブログ記事を読んだ顧客は購買率が高いというパターンが発見できれば、その記事を読んだ人向けの専用メールを設計できる。
消費者心理の階層に合わせたアプローチについては、消費者心理の階層別アプローチの記事で詳しく扱っている。
方法4 メール本文のパーソナライズを細かくする
名前を差し込むだけのパーソナライズは、もはや顧客に驚きを与えない。AIを使えば、もう一段階深いパーソナライズが可能になる。
顧客の過去の購買内容やWebサイトでの行動に基づいて、メール内のレコメンド商品や導線を個別に変える。ECサイトであれば、その顧客が以前見ていた商品カテゴリの新着情報をメールに自動挿入する。
BtoBの場合は、相手の業種や役職に合わせて事例を差し替える。同じ業界の事例が掲載されているメールと、関係ない業界の事例が並んでいるメールでは、クリック率にはっきりとした差が出る。
方法5 離脱予兆のある顧客にフォローメールを自動配信する
メールを開かなくなった顧客、Webサイトへの訪問頻度が落ちた顧客。こうした離脱の予兆をAIが検知し、自動でフォローアップメールを送る仕組みが構築できる。
最後に開封してから30日以上経過した顧客、購入後3か月間リピートがない顧客。こうした条件を設定し、それぞれに合ったメッセージを用意しておく。
フォローメールの内容は、売り込みではなく価値の提供を優先する。新しい使い方の提案、関連する読み物コンテンツ、アンケートへの協力依頼。離脱しかけている顧客に対して、その理由を理解しようとする姿勢が伝わると、関係性を取り戻せることがある。
AIでのマーケティング改善全体については、AIマーケティング計画の記事も参考になる。
メールマーケティングは細部の積み重ねで差がつく
劇的な改善策はない。件名を工夫し、タイミングを調整し、セグメントを見直し、内容をパーソナライズし、離脱予防を仕組み化する。この地道な改善の積み重ねが、半年後の成果を変える。AIはその積み重ねを加速させる道具だ。
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