マーケティング計画を立てるたびに、年末には「計画通りにいかなかった」と振り返る。この繰り返しに覚えがあるなら、問題は実行力ではなく計画の立て方にあるかもしれない。達成できないほど詰め込んだ計画は、計画ではなく願望だ。
テクニック1 施策の数を絞る
マーケティング計画の失敗で最も多いのは、やることが多すぎることだ。SEO、SNS、メールマーケティング、広告運用、コンテンツ制作。すべてに手を出そうとして、どれも中途半端になる。
限られたリソースで成果を出すには、四半期ごとに注力する施策を2つか3つに絞る。残りは意図的に後回しにする。「やらないことを決める」のが計画の役割だ。
絞り込みの基準は、投入する工数に対して成果が見えるまでの期間が短いかどうか。SEO対策は成果が出るまでに半年かかるが、メールマーケティングは送信した翌日に反応が見える。チームの士気を保つためにも、短期と中長期の施策を組み合わせておくといい。
テクニック2 数値目標を行動指標に分解する
「月間PV10万」「リード獲得50件」といった目標を立てるのはよい。ただし、その数字だけを掲げても日々の行動は変わらない。
目標を行動指標に分解する。月間PV10万を達成するには週に何本の記事を公開する必要があり、1記事あたりの想定PVはいくらで、既存記事のリライトで上積みできる分はどれくらいか。こうした分解ができていれば、計画が遅れているかどうかを週単位で判断できる。
行動指標は、担当者が自分の努力でコントロールできる単位にまで落とし込む。SEOの検索順位は自力ではコントロールしにくいが、記事の公開本数やリライトの実施件数は自分で管理できる。この違いを意識するだけで、計画の粒度は変わる。
テクニック3 振り返りの頻度を上げる
年次計画を立てて年末に振り返る。このサイクルでは、途中の軌道修正が間に合わない。
マーケティング計画の振り返りは、最低でも月次、できれば隔週で行う。振り返るポイントは3つだけだ。
- 行動指標は計画通りに進んでいるか
- 数字に想定外の動きがあるか
- 外部環境に計画変更を要する変化が起きたか
この3点を15分で確認し、必要があれば翌月の優先順位を入れ替える。大がかりな見直しではなく、小さな修正を頻繁に入れるほうが、計画と現実のずれは小さく保てる。
マーケティング戦略全体の設計方法については、マーケティング戦略立案の記事でも整理している。
テクニック4 AIで定型作業の工数を減らす
マーケティング担当者の時間が足りない原因の大半は、戦略を考える時間ではなく、定型的な作業に時間を取られていることだ。レポート作成、メール文面の作成、SNS投稿の制作、競合調査のまとめ。こうした作業にAIを活用すると、体感で3割から5割の時間を浮かせられる。
浮いた時間を何に使うかが、計画の精度を分ける。顧客データの分析、新しい施策の仮説立案、チーム内のナレッジ共有。AIに任せられない判断業務に集中できる環境を作ることが、マーケティング計画を実行可能なものにする。
AI導入を段階的に進める方法については、AI導入ロードマップの記事で詳しく触れている。
テクニック5 チーム全員が計画を把握している状態を作る
計画を立てた本人だけが全体像を理解していて、チームメンバーは自分の担当分しか知らない。この状態では、施策間の連携が取れない。
SEO担当が書いたブログ記事を、メール担当が配信コンテンツに活用する。SNS担当がその記事をシェアし、広告チームがリターゲティングの導線として使う。こうした施策の連鎖は、全員が計画の全体像を知っていることが前提になる。
共有の方法はシンプルでいい。四半期の計画をA4一枚にまとめ、各施策の目的と担当者と期限を書く。凝った資料は要らない。誰でもいつでも見返せる状態にあることが大切だ。
計画は完璧さではなく、修正しやすさで勝負する
立派な計画書を作ることにエネルギーを使い果たすと、実行のフェーズでガス欠を起こす。計画はあくまで仮説であり、実行しながら書き換えていくものだ。修正のしやすさを最初から設計に組み込んでおくことが、結果として成果につながる計画の条件になる。
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