合同会社Leadfive 山下です。

さて、 Leadfiveでは、AIを便利なチャット相手で終わらせず、会社の実務に組み込むAIエージェント運用を発信・支援しています。Codexを使う時に最初に整えるべきものは、難しいプロンプトではなく、AIに渡す会社の業務マニュアルです。

OpenAIはCodexの公式説明で、リポジトリ内のAGENTS.mdによって、Codexへコードベースの歩き方、実行すべきテスト、プロジェクトの標準に合わせる方法を伝えられると説明しています。経営者向けに言い換えると、AGENTS.mdは「AIに渡す入社初日の業務マニュアル」です。

Codexに渡すAGENTS.mdを業務マニュアルとして整理する経営者のデスク

AGENTS.mdは、AIへの長い説明を減らすための業務マニュアルです

AGENTS.mdは、毎回の指示を短くするために、先に会社の前提を置いておくファイルです。

新人スタッフに毎朝「この棚は触ってよい、金庫は触らない、困ったら責任者に確認」と説明していると、社長の時間が減りません。AIも同じです。毎回プロンプトで同じ説明をするのではなく、よく使うルールをAGENTS.mdにまとめます。

AIエージェントとは何か。中小企業経営者が最初に理解すべきことで整理した通り、AIエージェントは相談相手ではなく、仕事を受け取るスタッフとして扱う方が実務に乗ります。そのスタッフに渡す最初の紙がAGENTS.mdです。

書くべきことは、任せる仕事、止める仕事、確認方法です

最初から立派な社内規程にする必要はありません。1ページで十分です。

AGENTS.mdに書く3項目、任せる仕事、止める仕事、確認方法

最初に書くのは、次の3つです。

  1. 任せる仕事
  2. 止める仕事
  3. 確認方法

たとえば、ブログ運用なら「下書き、画像案、内部リンク案、QAまでは作ってよい。公開、SNS投稿、広告、DB、env、secret、顧客送信は止める。最後に作成物、未確認範囲、CEOが判断する1点を書く」と決めます。

開発なら「テスト、lint、typecheckを実行する。push、merge、deployは止める」と決めます。営業なら「送信文下書きまでは作る。Gmail送信、LINE送信、価格提示、契約提示は止める」と決めます。

Codexには、テスト方法まで渡すと作業が安定します

Codexに任せる仕事では、何を見れば完了かを先に書くほど、確認が楽になります。

OpenAIの公式説明でも、Codexはファイルを読んで編集し、テスト、lint、typecheckのようなコマンドを実行できるとされています。だからこそ、AGENTS.mdには「どのコマンドで確認するか」を書きます。

検証:
- 記事下書きだけなら、frontmatterとリンクを確認する
- コード変更なら、npm test または npm run lint を実行する
- 動画なら、尺、音声、字幕、公開候補ファイルを確認する
- 検証できない場合は、未検証理由を書く

これは、スタッフに「終わったら報告して」ではなく、「レジ締め表と現金差額を見せて」と言うのに近いです。確認方法が具体的だと、社長が見るべき場所も減ります。

Codexの始め方と最初に設定すべきポイントを済ませた後は、次にこの検証欄を整えると、AIへの依頼が作業単位になります。

止める仕事は、強めに書いた方が事故が減ります

AIに任せるほど大事なのは、AIにやらせないことです。

公開、送信、広告、本番、秘密情報を承認ゲートで止める図

会社の実務では、便利さより先に事故防止の線を引きます。AGENTS.mdには、次のように書いておくと安全です。

AIが実行しないこと:
- 外部送信
- SNS投稿、予約投稿、返信、いいね、フォロー、DM
- 広告配信、予算、入札、キーワード変更
- 本番deploy、公開、DNS、Webhook、DB変更
- env、secret、APIキー、Cookie、秘密鍵の表示や保存
- 顧客接触、価格提示、契約提示

ここは遠慮せず、強めに書きます。AIの能力が上がっても、金庫の鍵、顧客への送信、広告費、本番公開は人間が持ちます。

AIエージェントのルール設計。任せる仕事と止める仕事の決め方でも同じ考え方です。できることが増えた時ほど、止める場所を先に固定します。

報告形式を決めると、社長の確認時間が減ります

AGENTS.mdには、最後の報告形式まで書いておきます。

AIの報告が「やりました」だけだと、社長は結局ファイルを開いて確認することになります。最初から、報告は次の順番にします。

報告:
1. 何を作ったか
2. どこに保存したか
3. 何で確認したか
4. 何を実行していないか
5. 人間が次に決める1点

特に「何を実行していないか」は重要です。外部送信していない、公開していない、広告を触っていない、本番に反映していない、DB/env/secretを触っていない。この一文があるだけで、確認する側の不安が減ります。

最初のAGENTS.mdテンプレート

まずは、次の形で1枚だけ作れば十分です。

# AGENTS.md

## 目的
このリポジトリでは、AIに調査、下書き、レビュー、低リスク修正を任せる。

## 進めてよいこと
- ファイルの読解
- 下書き作成
- 内部レポート作成
- テスト、lint、typecheck
- 公開前チェック

## 止めること
- 外部送信、SNS投稿、広告操作
- 本番deploy、DB/env/secret変更
- 顧客接触、価格提示、契約提示

## 検証
- 変更後に実行した確認を書く
- 実行できない確認は、未検証として書く

## 報告
- 作ったもの
- 保存先
- 検証結果
- 実行していない危険操作
- 人間が決める1点

最初から完璧にしなくて構いません。大事なのは、毎回の指示に同じ説明を混ぜないことです。

今日の作業: AIに任せる仕事を1つだけ決めます

AGENTS.mdは、AI導入の大きなプロジェクトではなく、今日1つの仕事を任せるために作ります。おすすめは、記事下書き、議事録整理、公開前チェック、テスト確認、社内資料の要約です。

最後に、次の5つだけ確認します。

  1. 任せる仕事が1つに絞れているか
  2. 止める仕事が明確か
  3. 検証方法が書いてあるか
  4. 報告形式が決まっているか
  5. 外部送信、公開、広告、本番、DB/env/secretが止まっているか

Codexは、作業を並列で進められるAIエージェントです。ただし、AIに任せるほど、人間が見なくてよい状態を作るのではなく、人間が見るべき1点へ圧縮する設計が必要です。AGENTS.mdは、そのための最初の業務マニュアルです。

よくある質問

AGENTS.mdは開発リポジトリだけに必要ですか

開発リポジトリ以外でも考え方は使えます。記事制作、動画制作、広告レビュー、営業下書きでも、任せる仕事、止める仕事、確認方法、報告形式を1枚にしておくと、AIへの指示が短くなります。

どこまで細かく書けばよいですか

最初は1ページで十分です。何度も同じ説明をしていること、AIが間違えやすいこと、絶対に実行してはいけないことから書きます。細かい手順は、運用しながら追加します。

出典

  • [Introducing Codex OpenAI](https://openai.com/index/introducing-codex/)
  • [Codex OpenAI Developers](https://developers.openai.com/codex/)
  • [Using Codex with your ChatGPT plan OpenAI Help Center](https://help.openai.com/en/articles/11369540-getting-started-with-codex)
Step 9 / 12

このシリーズの順番

任せる仕事、止める仕事、確認方法をAGENTS.mdに落とし込める。次の作業は、記事内テンプレートでAGENTS.mdの初版を作ることです。

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