美容業界のAIによる進展は客前の肌診断やバーチャルメイクだけではなく、小さなサロンではブログやお知らせの文章づくりが先に毎日の仕事に入ってくると考えられます。閉店後にオーナーがスマホでAIにブログを書かせ、読み返さずに載せると、店が約束していない仕上がりや担当者の対応を言い切った文が、そのままお客様の目に届くことがあります。ここでは、Leadfiveの記事制作の運用で、美容サロン向けにAIが書いた下書き11本に入った直し48件の内訳を、最初に見ていきます。

AIが書いたサロンの文章はどこを直された?11本・48件の内訳

いちばん多かったのは、効果や結果の言い切りでした。48件のうち25件です。

上に小さな枠が11個並び、下に長さの違う横棒が7本あり、いちばん長い1本だけが金色の図

Leadfiveの記事制作では、美容サロン向けのブログについて、AIが下書きを書き、別のAIが出典と照らし合わせて直してから載せる仕組みを動かしています。2026年10月5日に書いた下書き11本について、直した記録を1件ずつ数えました。同じ直しを本文とよくある質問の欄など複数の箇所に入れたものも、1件と数えています。

分け方は、直した理由の欄に書かれた言葉で決めました。所在地、予約の案内、見出し、体験談、一般化、店側や担当者の対応のどれかに当たる言葉があればその分類に入れ、どれにも当たらない言い切りの直しは効果や結果の言い切りに入れています。理由の欄が同上となっているものは、直前と同じ分類です。

直した内容 件数 直す前の文の形
効果や結果の言い切り 25 見落としを減らせます、目的が共有できます
店側の対応や担当者の受け止めの言い切り 9 担当者はその部分を見てくれます
出典の無い一般化 5 日がたつと細かいところから忘れていきます
リンク先の無い予約の誘い 4 ご予約はこちらから
見出しの形 2 名詞だけで止まった見出し
体験談のような書き出し 2 書こうとしたものの、手が止まった
所在地の書き過ぎ 1 出典に無い細かい地名

効果の言い切りと店側の対応の言い切りを合わせると34件で、11本すべてに1件以上ありました。直し方はほぼ同じです。見落としを減らせます、は、見落としを減らしやすいと考えられます、へ。担当者が見てくれます、は、店で実際にしていると確かめられない限り、推論の文へ弱めました。

記録からは、AIが読みやすく前向きな文にまとめる途中で、店がまだ約束していないことまで自然な語尾で言い切ってしまう場合があると読み取れます。

美容業界のAIの進展はどこまで来た?客前の技術と裏方の文章を分けて見る

進展は二つの方向に分かれています。お客様の前で使う診断や試し塗りと、店の裏で書く文章です。

左に格子の入った灰色の円、縦線をはさんで右に3枚重なった枠があり、手前の1枚だけが金色の図

客前の技術では、たとえば化粧品メーカーのロレアルが公式サイトで、メイクや髪色を画面上で試せる仕組みから始め、AIで肌と髪を一人ひとりに合わせて分析し、手入れの手順や商品を提案する診断の道具へ広げてきたと説明しています。こうした仕組みを、数人で回すサロンが一から作るのは現実的ではないと考えられます。

一方、文章のほうは手元の文章作成AIですぐ試せます。たとえば、雨の日に空いた枠を知らせるお知らせ、新しいカラーメニューの説明、ブログの下書き。社長の手元では、こちらのほうが先に毎日の仕事に入ってくると考えられます。

進展の方向 例 小さなサロンでの関わり方 載せる前に確かめる人
客前の技術 画面での試し塗り、肌と髪の診断 メーカーやサービス会社が用意したものを使う側になる場合があります 提供する会社と店
裏方の文章 ブログ、お知らせ、返信、メニュー説明の下書き 文章作成AIで今日から試せます 店自身

右の2列は記事からの整理です。客前の技術は提供する会社にも確認の責任がありますが、裏方の文章は書かせた店がそのまま出し手になります。予約や顧客管理など、文章以外のデジタル化から考えたい場合は美容室DXの始め方も参考になります。

なぜ言い切りを直すのか?店が約束していないことは表示の決まりにも触れうる

言い切りを放っておくと、お客様との約束と、広告の決まりの両方にかかわる場合があるからです。

左から伸びる灰色の横棒が5本あり、黒い縦線を越えた2本の先だけが金色の枠になっている図

消費者庁は、事業者が商品やサービスの品質などについて、一般の消費者に実際のものよりも著しく良いと示す表示を、優良誤認として禁止していると説明しています。優良誤認かどうかの判断が必要な場合、消費者庁長官は期間を定めて、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。期間内に出せないか、出した資料が不十分な場合は、措置命令との関係では不当表示とみなされます。

ブログの一文がすぐこれにあたるとは限りません。あたるかどうかを、この記事で判断することもできません。ただ、AIが書いた仕上がりが長く続きます、のような文を、店が根拠を出せないまま載せ続けるのは避けたほうがよいと考えられます。

店頭のPOPに置き換えると分かりやすくなります。新人スタッフが書いたPOPを、店長は貼る前に一度読みます。言い過ぎていれば、その場で赤ペンを入れる。AIの下書きも同じ扱いにして、載せる前に読む人を一人決めておきます。誰がどこで止めるかの決め方は、AIエージェントの承認ゲート設計でも扱っています。

自店のブログやお知らせで、どこまでAIに書かせてどこで人が読むかを一緒に決めたい場合は、Leadfiveへのご相談からお問い合わせください。

お客様の情報をAIに入れてよい?入れる前に3つ決める

入れる前に、使う目的の範囲内か、入れた情報がどう扱われるかを確かめます。

点が並ぶ左の枠から右へ伸びる矢印を黒い縦棒がさえぎり、右の枠の中に金色の盾の形がある図

現場では、カルテのメモをそのままAIに貼り、来店後のお礼の文を作らせたくなる場面があります。個人情報保護委員会は2023年6月の注意喚起で、事業者が個人情報を含む指示を生成AIに入れる時は、その情報の利用目的を達成するために必要な範囲内かを十分に確認するよう求めています。あらかじめ本人の同意を得ずに入れた個人データが、応答の出力以外の目的で扱われる場合は、法律に違反することとなる可能性があるとして、そうした入力をする時はサービスの提供会社がそのデータを機械学習に使わないこと等を十分に確認するよう書いています。

同じ注意喚起は、生成AIの応答には不正確な内容が含まれることがあるとも書いています。そこで、入れる前に次の3つを決めておきます。

  1. 何を入れないか。氏名、電話番号、カルテの中身のように、お客様が特定できる情報を入れるかどうかを先に決めます。
  2. どのサービスを使うか。利用規約やプライバシーポリシーで、入れた情報を機械学習に使うかどうかを確かめます。
  3. 誰が出力を読むか。お客様に届く文は、送る前に人が読む形にします。

載せる前に何を見る?赤ペン表と5つの確認

語尾、主語、数字、リンク、お客様の情報の5か所を見ます。

5つの四角が縦に並び上の3つに金色のチェックが入り、右に黒いペンが斜めに置かれた図

  1. 語尾。できます、防げます、続きます、で終わる文を探します。根拠を出せなければ、しやすくなります、場合があります、に直します。
  2. 主語が担当者や店の文。担当者が丁寧に見てくれます、のような文は、店で実際にしていることかを確かめます。
  3. 数字。日数、回数、割合が出てきたら、その数字の出どころを示せるかを見ます。
  4. 予約の誘い。ご予約はこちら、の先にリンクが付いているかを、公開前の画面で押して確かめます。
  5. お客様の情報。名前、来店日、カルテの中身が文に残っていないかを読み返します。

直した結果は、次の表に書き残しておくと、同じ直しが何度出たかを後から数えやすくなります。1行目は、Leadfiveの記録にあった直しと同じ形の例です。

元の文 当てはまった確認 直した文 読んだ人
この順番で確かめると、見落としを減らせます 1 語尾 見落としを減らしやすいと考えられます  
       
       

同じ確認に何度も引っかかるなら、AIに頼む時の指示に、言い切らない、と一行足すほうが早い場合があります。週に一度この表を見返す習慣は、AI導入が定着しない会社へ。毎週見る4つの未記入欄の考え方とも重なります。

AIの進展を追うより先に、店の名前で出る文を誰が読むかを決める。小さなサロンにとっての最初の一歩は、そこから始まると考えられます。ブログやお知らせの書かせ方と読む手順を店に合わせて組みたい場合は、Leadfiveへのご相談からどうぞ。

参考資料

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