AI機能があれば補助対象になる、とは限りません。見積書づくりを変えたい会社でも、登録ITツール、申請要件、契約の順序がそろわなければ通常枠の対象になりません。下の5項目を埋めれば、支援事業者に確認する内容と、補助金を使わない改善案を分けて考えられます。

問い合わせ対応や見積書づくりを変えたい時、先にツールを選ぶと、補助金の条件と自社の課題が後からずれることがあります。下の表は申請書そのものではなく、導入を決める前に社内でそろえるための整理表です。

項目 自社で書く欄
対象業務 いま負担になっている作業__
成果の数字 現在の時間や件数__、導入後に確かめる数字__
自己負担 導入時__、補助対象期間後の利用料__
担当者 申請__、導入__、報告__
登録・順序 ツールと支援事業者の登録__、交付決定前に行わない手続き__

通常枠では、登録ITツールと業務プロセスの条件を先に確かめます

木製・白・紺・黄土色の円形トレーに、立方体、リング、折り紙、円柱、木球を置いた静物

通常枠は、業務プロセスを持つ登録ITツールの導入経費の一部を補助する枠です。AIという名称だけでは足りず、通常枠の公式ページでは、1種類以上の業務プロセスを持つソフトウェアを申請すること、汎用プロセスだけの使用は不可としています。見積書づくりや受発注の入力を変えたい場面では、機能表の前に対象業務を確かめます。

この記事では、5つある申請枠のうち通常枠だけを扱います。ほかの枠や自治体の制度は要件と手続きが別です。

項目 通常枠で公式ページに示されている内容
補助率 1/2以内。令和6年10月から令和7年9月までの間で3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上であることを示した場合は2/3以内
補助額 1プロセス以上は5万円以上150万円未満、4プロセス以上は150万円以上450万円以下
補助対象経費 ソフトウェア購入費と最大2年分のクラウド利用料。機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ、導入・活用コンサルティング、導入設定、マニュアル設定、導入研修、保守サポートは区分ごとに示されています
対象外として先に見る点 汎用・自動化・分析ツールという汎用プロセスだけでの使用は不可

2/3以内は通常の補助率ではなく、表の期間と従業員割合を示した場合に限る特例です。自社が該当するかは、申請時点の要件と必要書類を支援事業者と確認してください。

AIと名前が付くことだけでは、通常枠の対象になりません

たとえば見積書づくりを変えたいなら、ツールのAI機能を比べる前に、見積書づくりがどの業務プロセスに当たるかを確かめます。対象業務を決めずに機能表だけで選ぶと、登録状況や申請するプロセスを後から確認することになります。

申請前に決める5項目は、補助金を使うかの判断材料になります

白いカード5枚に、紺の歯車、木の定規、木の円盤、紺のダブルクリップ、木の立方体を一つずつ置いた静物

通常枠では、申請時に労働生産性の3年間の計画値を策定します。支援事業者との商談前に業務、測る数字、費用、担当、登録・順序を決めれば、計画と実施後の報告を同じ担当者が追えます。

決めること 書き出す例 公式資料と結び付く確認
1. 対象の業務 見積書づくり、受発注の入力など1つ 1種類以上の業務プロセスを持つソフトウェアか
2. 成果を測る数字 作業時間、処理件数 3年間の労働生産性の計画値にどう置くか
3. 自己負担額 補助されない分と3年目以降の利用料 クラウド利用料は最大2年分であること
4. 社内の担当者 申請、導入、実績報告を見る人 交付決定後も実績報告があること
5. 登録・実施順序 ツール、支援事業者、契約・発注日 交付決定後に補助事業を開始すること

業務と数字が空欄なら、ツールの比較を急がないほうが安全です

工務店で見積書づくりに時間がかかるなら、対象業務は見積書づくりです。1件あたりの作成時間や週の件数を記録するかを、社長と担当者が先に決めます。入力項目を減らす、既存ソフトの機能を使う、担当を決めるといったAI以外の改善も、この段階で並べられます。

AIに任せる範囲を検討する時も、対象業務の決定、登録・要件の確認、申請内容と発注の最終確認は人が行います。どの業務から切り出すかを整理したい場合は、Leadfiveの業務自動化・AI定着の支援で確認項目を整理できます。補助金の交付申請は、事務局に登録されたIT導入支援事業者と進めます。

申請には、登録済みのツールと支援事業者に加えて必須の準備があります

木色、紺、黄土色の3組の積み木を白い線で結んだ静物

交付申請には、GビズIDプライムとSECURITY ACTIONの宣言が必要です。新規申請の公式フローでは、SECURITY ACTIONは★一つ星または★★二つ星の宣言が要件で、申請作成時には宣言済アカウントIDの入力が必要としています。商談でツールを決める前に、IDの取得状況も確認します。

GビズIDプライムの発行はおおむね2週間、SECURITY ACTIONの宣言済アカウントIDの発行はおおむね2〜3日と案内されています。締切直前に始めれば間に合うとは限りません。

また、通常枠のFAQは、補助対象経費を事務局に登録されたITツールの導入費用とし、そのツールは登録されたIT導入支援事業者が提供するものと説明しています。支援事業者との商談では、次を確認します。

支援事業者に聞くこと 確かめたいこと
このツールは事務局に登録済みですか 補助対象となるITツールか
どの申請枠と業務プロセスで申請しますか 自社の対象業務と合うか
対象外となる費用はどれですか 自己負担の総額
3年目以降の利用料はいくらですか 補助対象期間後の負担
実績報告で残す証憑は何ですか 契約・発注、納品、請求・支払いの記録をどう保管するか

法人は国内で法人登記され、日本国内で事業を営み、本社と補助事業の実施場所を国内に有することがFAQに示されています。個人は国内に補助事業の実施場所を有することが条件です。対象となる事業者と対象外となる事業者の詳細は、通常枠の公募要領で確認してください。

支援事業者を含めた相談先の比べ方は、大阪でAI導入支援会社を選ぶ前に確認したい7項目で、初回相談で聞く質問を整理しています。

10月30日17時の締切を使うなら、交付決定前の順序を守ります

白い無地カード4枚を階段状に並べ、砂時計とダブルクリップを置いた静物

10月30日17時までに申請するなら、交付決定前に発注・契約・支払いをしません。2026年10月21日時点で、公式スケジュールに掲載されている通常枠6次締切は2026年10月30日金曜17時です。交付決定日は2026年12月10日木曜予定、事業実施期間と事業実績報告期限は2027年5月31日月曜17時予定とされています。

交付決定後の公式案内では、ITツールの発注・契約・支払い等は交付決定を受けた後に行うこと、交付決定前に行った場合は補助金の交付を受けられないことを明記しています。通常枠の公募要領でも、交付決定前の契約・発注は補助対象にならず、契約・発注より先に納品・導入や請求・支払いが行われた場合、補助金が交付されず交付決定の取消しとなる場合があると示されています。

順番 公式フローで確認すること
1 GビズIDプライムを取得し、SECURITY ACTIONを宣言する
2 登録済みのIT導入支援事業者とITツールを選び、事業計画を作る
3 申請マイページで内容を最終確認し、宣誓して交付申請を提出する
4 交付決定を受ける
5 交付決定後に契約・発注、納品・導入、請求・支払いを行い、証憑を保管する
6 事業完了後、補助事業者とIT導入支援事業者で実績報告を作成し、補助事業者が提出する

10月21日にGビズIDプライムを持たずに準備を始める場合、案内されているおおむね2週間を前提にすると、10月30日17時までに間に合うかは不明です。取得状況、添付書類、登録状況を確認し、締切に合わせて交付決定前の契約や発注を急がないでください。

3年計画と賃上げ要件は、採択後の負担まで含めて確認します

紺、白、黄土色の無地の手帳3冊と木の円盤を並べた静物

3年間の計画と賃上げ要件を、採択後の報告・返還まで含めて確認します。通常枠では、労働生産性について3年間の計画値を策定します。計画値が未達の場合、FAQでは効果報告時に未達の要因と改善方法の報告を求めるとしており、事業を実施していないことによる未達は交付決定の取消しとなる可能性があります。

賃上げ要件は、補助金申請額、過去の交付決定の有無などで必須要件か加点要件かが分かれます。FAQでは、必須要件である賃上げ目標が未達の場合は補助金の返還を求めるとしています。加点要件の未達でも、効果報告で未達が報告されてから18か月間、正当な理由が認められない限り中小企業庁所管の補助金申請で大幅な減点となる案内があります。自社に適用される区分は、申請額と申請履歴を支援事業者に確認してください。

ここで見るのは補助率だけではありません。補助がある期間、補助対象外の費用、実績報告の証憑、3年間の計画、賃上げ要件までを、同じ予算表と担当表に置きます。

補助金を使わない判断も、導入を止める判断とは限りません

対象業務と数字が決まらないなら、補助金を使わず、既存ソフトの設定や業務の分担を先に変える選択肢があります。自治体が独自にAI導入やDXの支援を用意している場合もあるため、地域の制度は別の要件として確認してください。堺市のAI導入ガイド。中小企業がツール選びの前に決める5項目では、地域の制度を含めた準備を扱っています。

今週は、対象業務と測る数字を一つずつ書き出します

白紙、黄土色の鉛筆、木の小物、紺と黄土色の手帳、木のトレーを置いた机

最初に書くのは、補助金の名前ではなく業務と数字です。たとえば見積書の転記が負担なら、対象業務を見積書づくり、測る数字を1件あたりの作成時間と決めます。そのうえで、入力項目を減らす、既存ソフトを見直す、AIを使う範囲を限定する、と選択肢を比較します。

導入後に記録する数字と、人が確認する範囲を決めるには、AI導入が定着しない会社へ。毎週見る4つの未記入欄も参照してください。補助金を使う場合は、ツール、支援事業者、GビズID、SECURITY ACTION、契約・発注日を一枚に書き、交付決定前に何をしないかまで社内で確認します。

参考資料

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