ChatGPTの文字起こしは、別の道具を組み合わせなくても、有料プランなら録音ファイルを会話に添付して頼めるようになりました。ただ、録音を入れれば議事録ができあがるわけではありません。判断の分かれ目は、どの会議の録音を入れ、誰が下書きを確かめるかを先に決めておけるかどうかです。要約をそのまま社内に回すと、まだ決まっていない値引きが決定事項として残る場面も起こりえます。判断の材料として、公式のリリースノートとヘルプを突き合わせ、何ができて何が書かれていないかを1枚の表にし、検索上位10件が前提にしている手順との違いも数えて、最初の見出しで示します。

何が変わった?録音を会話に添付すれば、文字起こしと要約まで頼める

月曜の朝の定例会議をスマホで録音しておき、会議のあとにその録音をChatGPTの会話に添付して、決まったことと次にやることをまとめてと頼む。10月6日からは、有料のChatGPTでこの流れを一つの会話の中で進められるようになりました。

OpenAIのリリースノートは、2026年10月6日の項で、音声ファイルをChatGPTにアップロードして、文字起こし、録音の要約、中身についての質問ができると発表しています。会議、取材、講義の録音を、整理したメモや、会議後に送るメールの下書きにできるとも書かれています。始め方は、対応する形式の音声ファイルを会話に添付し、してほしいことを書くという手順です。

左に灰色の線でつながった薄い灰色の枠3つが縦に並び、灰色の縦線で区切った右側に、黒い縦線6本と金色の縦線1本が入った枠と灰色の横線5本が入った枠を、1つの大きな白い枠に収めた図

検索で上位に出る紹介記事には、別の道具で文字にしてからChatGPTに貼る手順を前提にしたものがあります。2026年10月8日の夜、Googleで「ChatGPT 文字起こし」の検索結果の上位10件を保存し、数えてみました。題名か見出しに、Whisperという文字起こし用の仕組みの名前を含む記事が5件。検索結果の抜粋に、ChatGPTだけでは音声ファイルを扱えないという趣旨が書かれていたものが2件。題名や見出しに、10月6日の発表や512MBの上限に触れたものは0件でした。プランという語を含む見出しは2件ありましたが、どちらも10月6日の発表には触れていません。ChatGPTに音声ファイルを渡すことを題名にした記事は1件ありましたが、いつの方法を書いたものかは、保存した題名と見出しからは分かりません。

別の道具を組み合わせる手順は、無料プランや、動画として保存されたファイルについては今も当てはまる部分があると考えられます。有料プランで音声ファイルを扱う場合は、その前提から外れます。リリースノートとヘルプを突き合わせると、次のように整理できます。右の列は記事からの推論です。

項目 公式に書かれていること 書かれている資料 社長の手元で起こりうること
できること 文字起こし、録音の要約、中身についての質問 リリースノート、ヘルプ 会議のあとに、録音を聞き直さずに要点を尋ねる場面が出てきます
作れるもの 整理したメモ、会議のまとめ、会議後のメールの下書き リリースノート、ヘルプ 議事録と、お礼のメールの下書きを同じ会話で頼めると考えられます
始め方 対応する形式の音声ファイルを会話に添付し、してほしいことを書く リリースノート、ヘルプ 別の文字起こしの道具を用意しなくても試せます
使える人 有料の契約とワークスペース。無料プランは現時点で対象外 リリースノート、ヘルプ 無料版を使う社員には、同じ使い方を頼めない場合があります
文字起こしの確かさ 誤りが含まれることがあり、言語によって性能が変わる場合がある。話し手の区別は当てにならない場合がある 誤りと言語の差はリリースノートとヘルプ、話し手の区別はヘルプ 誰が何を言ったかを、そのまま議事録に写すと食い違う場合があります
長い録音 データ分析の機能が使える時は小分けに処理される場合がある。処理は可能な範囲で行われ、とても長い録音は時間切れになる場合がある ヘルプ 長い会議では、後半が抜けていないかを見る手間が残ります

公式の資料は、録音を入れれば議事録ができあがるとは書いていません。ヘルプには、文字起こしに誤りが含まれることがあり、話し手の区別も当てにならない場合があるため、大事な点は元の録音と照らし合わせるようにと書かれています。道具が一つで済むようになっても、確かめる人まで要らなくなったわけではありません。

誰が使える?有料プランが対象で、ファイルの形式と大きさに決まりがある

社長はPlus、事務の社員は無料版。この組み合わせの会社では、社長の画面でできた使い方を、社員に同じように頼めない場合があります。

ヘルプでは、音声のアップロードは有料のChatGPTの契約と、Enterpriseを含むワークスペースで使え、無料プランでは現時点で使えないと書かれています。使えるかどうかは、ワークスペースの設定、地域、アプリの版、選んだモデルによって変わる場合があります。日本だけの提供時期や、音声のための追加の料金は、確かめた公式の資料には書かれていません。

黒い縦線6本が入った白い四角2つの右上に金色の丸があり、その右に灰色の縦線6本が入った灰色の点線の四角、下に左から3分の2ほど金色に塗られた横長の棒がある図

項目 公式に書かれていること 確かめる場所
使えるプラン 有料の契約とワークスペース。Enterpriseを含む。無料プランは現時点で対象外 社員ごとのアカウントの設定画面で、契約プランの表示を見ます
差が出る条件 ワークスペースの設定、地域、アプリの版、選んだモデル 会社で契約しているワークスペースなら管理者の設定、個人ならアプリが新しい版かを見ます
対応する形式 WAV、MP3、MPEG、OGG、OGA、音声だけのWebM、PCM、FLAC、AAC、M4A、音声だけのMP4 録音したファイルの名前の末尾で、保存形式を見ます
使えないもの 動画と判定されたWebMとMP4。再生できる音声が入っていないファイル ウェブ会議の録画なら、音声だけのファイルとして保存できるかを見ます
ファイルの大きさ 1ファイル512MBまで ファイルの情報の画面で、大きさを見ます
失敗した時 対応する形式か、再生できる音声が入っているかを確かめる 同じファイルがパソコンやスマホで再生できるかを見ます

右の列は記事からの提案です。WebMやMP4は、音声だけでも動画としても保存される形式で、動画と判定されたものは音声のアップロードには使えないとヘルプに書かれています。

10月7日に始まったGPT-6の更新は、翌日から無料版とGoにも広げると案内されましたが、音声のアップロードは別の機能で、ヘルプでは有料が対象です。プランごとの違いはChatGPTの新機能GPT-6の記事で整理しました。

どの録音を入れる?会議の種類で決め、元の録音と最後の判断は手元に残す

商談のあと、営業の社員が気を利かせて、取引先との会話の録音をそのままChatGPTに入れる。社内の定例会議と同じ感覚で入れると、相手の名前や条件が、相手に説明しないまま外部のサービスに渡ることになります。

入れるかどうかは、録音を聞いてから考えるより、会議の種類で先に決めておくほうが迷いにくくなります。個人情報保護委員会の2023年6月2日の注意喚起は、個人情報取扱事業者が生成AIのサービスに個人情報を含む入力をする場合、特定された利用目的を達成するのに必要な範囲内かを十分に確認するよう求めています。録音に入った人の名前や話の中身も、入力する情報として同じ目で見ておくのが無理のない読み方だと考えられます。

上の段に黒い縦線6本と右下に金色の丸がある白い枠3つ、下の段に灰色の縦線6本と右下に黒いバツ印がある灰色の枠3つが並ぶ図

会議の種類 録音に入りやすい情報 入れる前に決めること 記事の提案
社内の定例会議 進み具合、段取り、社内の数字 出席者に、録音をChatGPTに入れると伝えるか 最初に試す候補にする
社長ひとりの音声メモ 考えの整理、やることの候補 取引先や社員の名前を話さないか 試しやすい
社内の研修や勉強会 手順の説明、質疑 講師が社外の人なら、その人にどう説明するか 社内の講師なら候補にする
取引先や顧客との商談 相手の名前、条件、相手の社内事情 相手への説明、社内の決まり、秘密を守る約束の中身 社内の決まりができるまで入れない
採用面接 応募者の経歴や事情 入れない前提で、メモの取り方を決める 入れない側に置く
人事評価や個別の面談 社員の評価、健康や家庭の話 入れない前提で、記録の残し方を決める 入れない側に置く

この表はすべて記事からの提案です。公式の資料が会議の種類ごとに使い方を分けているわけではありません。録音してよいか、相手の同意が要るかという判断も、この表では扱っていません。迷う会議は、社内の決まりを決めるまで入れない側に置いておきます。

入れる会議を決めたら、手元に残すものも決めておきます。

  1. 元の録音。ヘルプは、大事な点を元の録音と照らし合わせるよう書いています。ChatGPTに入れたあとも、元のファイルは社内の保存場所に残しておきます。
  2. 何が決まったかの確定。ChatGPTの要約は下書きとして扱い、決まったことを最後に確かめるのは、その会議で決める立場にいた人にします。
  3. 社外に出す文面。会議後のメールの下書きは作れるとされていますが、送るかどうかと文面の最終版は人が決めます。

新人が書いた議事録の下書きに、上司が赤ペンを入れてから回すのと同じです。ChatGPTの下書きにも、赤ペンを入れる人を会議ごとに一人決めておきます。

自社でどの会議の録音を入れ、誰が確かめるかを一緒に整理したい場合は、Leadfiveへのご相談からお問い合わせください。

最初に何をする?社内の定例会議1本で、確かめる人を決めて試す

来週の定例会議を1本だけ選び、録音、添付、下書き、確認までを一度通してみる。最初から全部の会議で使うより、どこで直しが入るかを見つけやすくなると考えられます。

上に横線でつながった5つの丸が並んで左端だけ金色、下に灰色の横線6本が入った白い枠と、枠の右下から右上の外へ斜めにはみ出す金色の鉛筆の形がある図

最初の1回は、次の順番で進める形を提案します。

  1. 試す会議を1本決め、出席者に、録音をChatGPTに入れて議事録の下書きを作ると伝えます。赤ペンを入れる人もここで決めます。
  2. 使うアカウントの設定を確かめます。個人向けのプランでは、設定のデータコントロールにある、すべての人のためにモデルを改善するという項目をオフにすると、新しい会話はOpenAIのモデルの学習に使われません。BusinessやEnterpriseなどのワークスペースの内容は、初期設定では学習に使われないと公式に書かれています。どちらの場合も、回答への評価のボタンの扱いは別で、後の注意点で触れます。
  3. 録音を添付し、頼み方をそろえます。ヘルプには、会議の録音を要約して、決まったこと、残った問い、次の手順を目立たせる使い方が例として挙がっています。たとえば、決まったこと、まだ決まっていないこと、次にやることと担当の3つに分けて書いて、と頼みます。
  4. 気になる箇所は質問で確かめます。ヘルプには、発売の期限について何と言っていたかを録音に尋ねる例があります。社内の会議なら、納期について何と言っていたか、のように尋ねられます。
  5. 下書きを、次のチェックリストで確かめ、直した箇所を書き残します。翌週も続けるか、入れる会議を変えるかは、その記録を見て決めます。

議事録の下書きを確かめる時は、次の7項目を見ます。

  1. 数字。金額、日付、数量、割合を、元の録音の該当する場面で聞き直します。
  2. 固有名詞。人の名前、会社名、商品名の表記を、名刺や社内の資料と見比べます。
  3. 話し手。誰の発言として書かれているかを、出席者の記憶と元の録音で確かめます。
  4. 決まったことと検討中のことの区別。決定と書かれた項目が、会議の場で本当に決まったかを、決める立場の人が見ます。
  5. 次にやることの担当と期限。担当者と期限が書かれているか、録音に無い担当者が足されていないかを見ます。
  6. 抜け。会議の後半や、話題が変わった直後の内容が要約から落ちていないかを、議題の順番と見比べます。
  7. 外国語や業界の言葉が混じった箇所。カタカナ語や英語の製品名、社内の略し方が、別の言葉に置き換わっていないかを見ます。

1つでも確かめられない項目がある下書きは、社外に出す前に会議の出席者へ回す、と決めておくことをおすすめします。止める場所を先に決めておく考え方は、AIエージェント導入前チェックの7項目も参考になります。

注意点は何か?誤り、言語による差、録音に入った個人情報

文字起こしの画面に、整った文章が並ぶ。読みやすいほど、聞き間違えた数字が混じっていても見落としやすくなると考えられます。

左に黒い縦線15本と金色の短い縦線1本が並ぶ白い枠があり、金色の虫眼鏡が金色の線に重なり、右に黒い太い縁取りの盾の形がある図

  1. 文字起こしの誤り。リリースノートとヘルプには、文字起こしに誤りが含まれることがあると書かれています。ヘルプは、話し手の区別も当てにならない場合があるとしています。
  2. 言語による差。音声の理解と文字起こしの性能は、言語によって変わる場合があると書かれています。日本語でどの程度の精度になるかは、確かめた公式の資料には数字で書かれていません。
  3. 長い録音。とても長い録音は時間切れになる場合があります。長い会議は、前半と後半に分けて入れるかを先に決めておきます。
  4. 録音に入った個人情報。個人情報保護委員会の注意喚起は、事業者があらかじめ本人の同意を得ずに個人データを含む入力をし、それが応答の出力以外の目的で扱われる場合、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性があるとしています。そのため、サービスを提供する事業者が、その個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求めています。利用者には、提供する事業者の利用規約やプライバシーポリシー等を十分に確認するよう呼びかけています。
  5. 学習の設定と評価のボタン。データコントロールの案内では、学習への利用をオフにしたあとでも、回答に良い悪いの評価を付けると、その会話全体が学習に使われる場合があると書かれています。録音を入れた会話では、評価のボタンを押さない決まりにしておくと迷いません。
  6. 保存の扱い。ヘルプの保存とファイル削除の説明は文書と画像についての書き方で、音声ファイルがどこにどれだけ残るかは、10月8日に確かめた資料には書かれていませんでした。社外秘の話が入る録音は、この点が分かるまで待つという判断もありえます。

AIに仕事を任せる時も、預ける情報の扱いを先に確かめる考え方は同じです。任せる仕事と手元に残す判断の分け方は、OpenAI Dotsの経営者向けガイドで整理しました。

録音を入れる手間が減っても、議事録に何を残すかを決めるのは会社です。どの会議を入れ、誰が赤ペンを入れるかを決めた会議から試していけば、社外の人が関わる録音で慌てる場面も減らしやすくなります。会議の棚卸しから進めたい場合は、LeadfiveのAI導入支援で、入れる録音と確かめる場所を一緒に確認できます。

よくある質問

無料版のChatGPTでも録音を文字起こしできますか

ヘルプでは、音声ファイルのアップロードは有料のChatGPTの契約と、Enterpriseを含むワークスペースが対象で、無料プランでは現時点で使えないと書かれています。有料プランでも、ワークスペースの設定、地域、アプリの版、選んだモデルによって使えるかが変わる場合があります。

どんな形式の録音ファイルを入れられますか

ヘルプに挙がっているのは、WAV、MP3、MPEG、OGG、OGA、音声だけのWebM、PCM、FLAC、AAC、M4A、音声だけのMP4で、1ファイル512MBまでです。動画と判定されたWebMやMP4は、音声のアップロードには使えません。

文字起こしの結果はそのまま議事録に使えますか

公式の資料には、文字起こしに誤りが含まれることがあり、話し手の区別も当てにならない場合があると書かれています。ヘルプは大事な点を元の録音と照らし合わせるよう求めているため、数字、名前、決まったことを確かめてから議事録にすることをおすすめします。

取引先との商談の録音を入れてもよいですか

この記事では、入れてよいかの判断はしていません。個人情報保護委員会の注意喚起は、個人情報取扱事業者に対して、個人情報を含む入力をする場合に特定された利用目的の範囲内かを十分に確認するよう求めています。一般の利用者に向けては、提供する事業者の利用規約やプライバシーポリシー等を十分に確認するよう呼びかけています。社内の決まりと相手への説明の仕方を決めるまでは、入れない側に置くことを提案します。

参考資料

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