ChatGPTの新機能は、回答の中に図やボタン、計算の道具を組み込むGPT-6の機能で、有料版だけでなく無料版にも10月8日から順次広がります。社長の判断の分かれ目は、社員が会話の中で作った値引きの計算道具を、見積もりに使う前に誰が確かめるかを決めておけるかどうかで、有料版の話だと受け流すと、確かめないまま使われる場面が起こりえます。判断の材料として、公式の発表、リリースノート、安全性の文書の3つを突き合わせ、何が変わり何が変わらないかを1枚の表にしました。

何が変わる?回答の中に図や計算の道具が出るようになる

月末、社員がChatGPTに2社の見積もりの違いを聞いたら、文章ではなく、横に並べた比較と数字を動かせる欄が返ってくる。10月7日の更新のあとは、こうした場面が社内で起こりえます。

OpenAIは2026年10月7日、ChatGPTのチャットにGPT-6を入れ、Intelligent UIという機能を始めました。回答の中に図やボタン、計算の道具を組み込む機能のことです。公式の発表では、回答に図、押せるボタン、入力欄、グラフ、その場で操作できる仕組みを含められ、比較なら横並び、説明なら操作できる図というように、質問に合わせて形を選ぶと説明されています。文章だけで答えるほうが役に立つ時は、文章で答えることもあるとされています。

左に灰色の線だけが並ぶ枠、中央に金色の三角、右に表のマス目と棒グラフ、金色の切り替えスイッチ、空の入力欄、黒いボタンが入った枠を並べた図

もう一つの変化は、考えながら答え始めることです。リリースノートによると、GPT-6は考えたり道具を使ったりしている途中から答え始め、追加の指示なしに分かったことを書き足していきます。OpenAIの発表では、ウェブ検索が要る質問で、GPT-6 InstantはGPT-5.6 Instantより平均して早く答え始めると説明されています。英語の発表では44%、日本語のページの訳文では32%と、同じ比較なのに数字がそろっていないため、ここでは早くなったという向きだけを取ります。

公式の発表、ヘルプセンターのリリースノート、安全性の文書は、書いている範囲が少しずつ違います。3つを突き合わせると、次のように整理できます。右の列は記事からの推論です。

項目 公式に書かれていること 書かれている資料 社長の手元で起こりうること
回答の形 文章、図、操作できる部品を質問に合わせて組み合わせる 発表、リリースノート 社員が受け取る回答の見た目が、質問によって変わります
その場の道具 頼めば、貯蓄の伸びを試す計算機、割り勘の計算、ゲームなどを会話の中で作れる 発表、リリースノート 見積もりや値引きの計算を、社員が会話の中で作り始めることが考えられます
答え始める速さ 考えながら答え始め、あとから書き足す 発表、リリースノート 書き足しが終わる前に読み始める場面が増えると考えられます
提供の範囲 Plus、Pro、Business、Enterpriseは10月7日から、無料版とGoは翌日から順次広がる 発表、リリースノート 無料版を使う社員の画面にも、図やボタンを含む回答が出るようになると考えられます
置き換わるモデル ChatGPTではGPT-5.6 SolとGPT-5.6 Lunaを置き換える 安全性の文書 以前と同じ聞き方でも、答え方が変わる場合があります
Proの推論オプション 引き続きGPT-6 Astraを使い、Intelligent UIには対応しない リリースノート Proで推論オプションを選ぶと、図やボタンを含む回答は出ないと考えられます
WorkとCodex 今回の更新ではモデルが変わらない 発表、リリースノート、安全性の文書 WorkやCodexで組んだ社内の手順は、今回の更新を理由に作り直さなくてよいと考えられます

Pro契約で選べる推論オプションの扱いは発表のページには無く、リリースノートにだけ書かれています。新機能の紹介記事を1本読んで済ませると、こうした例外を取りこぼす場合があります。

2026年10月8日の夕方にGoogleで「ChatGPT 新機能」と検索し、上位10件を保存して数えたところ、題名にGPT-6やIntelligent UIを含む記事は0件でした。扱われていたのは、GPT-5.5、Codex、画像と音声の入力、Tasks、Pulse、画像の機能などで、今回の更新を経営の判断に落とした記事は見当たりませんでした。

誰が使える?無料版とGoは10月8日から、使うモデルが違う

社長はPlus、社員の何人かは無料版。そんな会社では、同じ質問をしても、裏で動くモデルが違います。

公式の発表とリリースノートでは、提供は世界で順次始まり、プランごとに次のように分かれています。日本だけの別の日程は、公式の資料には書かれていません。

下の横線に縦の印が2つあり、左の印の上に黒い四角が4つ、右の印の上に金色の点が入った白い四角が2つ、右上に薄い灰色の小さな四角が1つある図

プラン 提供の始まり 使われるモデル 補足
Plus 10月7日から順次 GPT-6 Sol チャットのタブで提供
Pro 10月7日から順次 GPT-6 Sol 推論オプションはGPT-6 Astraのままで、Intelligent UIに対応しない
Business 10月7日から順次 GPT-6 Sol チャットのタブで提供
Enterprise 10月7日から順次 GPT-6 Sol 使えるかはワークスペースの管理者の設定による
無料版 10月8日から順次 GPT-6 Luna 日常の会話向けに調整
Go 10月8日から順次 GPT-6 Luna 日常の会話向けに調整

SolもLunaも、日常の会話向けに調整されたモデルと説明されています。Intelligent UIは、考える深さの段階のうちInstantからExtra Highまでで使えます。

社内で確かめることを、見る場所と一緒に番号順に並べます。

  1. 社員ごとの契約プラン。会社が払っている契約の一覧と、社員本人のアカウントの表示で、誰が無料版、Go、Plus、Businessなのかを確かめます。
  2. チャットのタブの回答の形。同じ質問を1つ決め、社長と社員の画面で、図やボタンが出るかを見比べます。
  3. Enterpriseの管理者の設定。Enterpriseを契約している場合は、ワークスペースの管理者が有効にしているかを確かめます。
  4. Proの推論オプション。Proで推論オプションを選んでいる時は、図やボタンを含む回答が出ない前提で使います。
  5. WorkとCodexの切り分け。WorkやCodexで回している作業は、今回の更新の対象外として、チャットの話と分けて考えます。

何を任せ、何を手元に残すか?道具づくりは任せ、数字の確認は残す

営業の社員が、割引率と数量を入れると合計が出る計算の道具を会話の中で作り、その数字をそのまま客先に伝える。便利な一方で、社長が一度も見ていない式で出た金額が外に出ていく場面です。

分け方の目安は、道具を作らせるところまでは任せ、出てきた数字を社外に出す前の確認は手元に残すことです。OpenAI自身も、モデルのデザインの判断を良くし、作れるものを広げる作業はまだ残っていると書いています。安全性の文書では、GPT-6はGPT-5.6と比べてほぼすべての指標で事実の正確さが改善した一方、事実の多い質問での主張ごとの誤りだけは例外とされ、評価の数字は普段の利用での発生率を表すものではないと断っています。誤りが無くなったわけではない、と受け取るのが自然だと考えられます。

左に電卓の形の図があり、右下のキーだけ金色で、金色の虫眼鏡が重なり、右に黒いチェック印の付いたカードがある図

作らせる道具の例 任せてよい範囲 手元に残す確認
割り勘や経費の按分の計算 社内の立て替え精算の下計算 合計が元の領収書と合うか
見積もりの比較表 候補を横に並べて違いを見る 単価、数量、税込か税抜か
値引きや利益の試算 条件を動かして傾向をつかむ 社外に出す数字は、社内の表計算で計算し直す
仕組みを説明する図 新人向けの説明の下書き 自社の手順と食い違いがないか
段取りや当番の表 案をいくつか並べる 休みの希望や働く時間に関わる部分

この表の当てはめは記事からの提案です。飲食店で、新しいたれを仕込むのは任せても、店に出す前の味見は店主がするのと同じで、確かめる場所だけは手放しません。

会話の中で作られた計算の道具を使う前に、次の5か所を見ておくと、確認の手順がぶれにくくなります。

  1. 入力欄の単位。円か千円か、個か箱かを、欄の名前と初めから入っている数字で見ます。
  2. 計算の式。道具の中でどう計算しているかをChatGPTに文章で説明させ、その説明を読みます。
  3. 端数の扱い。切り捨てか四捨五入か、どの段階で丸めているかを見ます。
  4. 税込か税抜か。合計の欄の名前と、税の計算が入っているかを見ます。
  5. 前提の数字の出どころ。初めから入っている数字が、自社の数字か、例として置かれた数字かを見ます。

1つでも答えられない欄がある道具は、社外に出す数字には使わない、と決めておくことをおすすめします。

自社で、どの計算を社員に作らせ、どこを社長が見るかを一緒に整理したい場合は、Leadfiveへのご相談からお問い合わせください。

最初に何をする?1つの業務で、作る人と確かめる人を決めて試す

朝礼で新しいChatGPTを使ってみてと伝えるだけだと、翌週には社員ごとに違う計算の道具が増えている場面も考えられます。最初は1つの業務に絞り、作る人と確かめる人を先に決めます。

上に線でつながった5つの丸が並び左端だけ金色、下に見出しの行と空欄の行が並ぶ4列の表の図

次の表を、試す業務ごとに1行ずつ埋めてから始めます。1行目は記入の例です。

試す業務 作らせる道具 作る人 確かめる人 確かめる場所 使ってよい範囲
経費の按分 割り勘の計算 総務の担当 社長 合計と領収書 社内の精算だけ
           
           

最初の1週間は、次の順番で進める形を提案します。

  1. 間違えても社外に出ない業務を1つ選び、表の1行目を埋めます。
  2. 同じ質問を、有料版と無料版の両方の画面で一度ずつ試し、回答の形の違いを見ます。
  3. 作られた道具を、前の章の5か所で確かめ、確かめた結果を表の横に書き残します。
  4. 週末に、直した回数と、確かめられなかった欄を見返し、続けるか、範囲を狭めるかを決めます。

止める場所を導入前に決めておく考え方は、AIエージェント導入前チェックの7項目も参考になります。Proの推論オプションで使われるGPT-6 Astraを週次の経営判断に使う方法は、GPT-6 Astraの経営判断ブリーフで扱っています。

注意点は何か?途中の回答、プランの違い、外に出る数字

画面に表が出た瞬間にコピーして、社内のチャットに貼る。考えながら答える仕組みでは、その時点の表がまだ途中の場合があります。

左に黒い線2本と黒い枠の表2行、灰色の枠の行と灰色の点線が下に続く枠、右に金色の砂時計がある図

  1. 書き足しが終わる前の回答。リリースノートでは、全体ができあがる前に読み始められ、あとから分かったことが追加の指示なしに書き足されると説明されています。数字や表を写すのは、書き足しが止まってからにします。
  2. 誤りの残り方。安全性の文書の評価では事実の正確さが改善していますが、例外も書かれています。社外に出す数字や固有名詞は、元の資料で確かめます。
  3. 自分の限界を伝える力。公式の発表では、GPT-6は情報や道具が足りない時に、その限界を認めて伝えるのがうまくなったとされています。ChatGPTが分からないと書いた箇所は、そのまま社内の確認の候補にします。
  4. プランで使えない機能。10月6日に始まった音声ファイルのアップロードは、有料のプランとワークスペースが対象です。文字起こしには誤りが含まれることがあり、言語によって性能が変わる場合があると書かれています。無料版の社員が同じ使い方をできるとは限りません。
  5. 安全性の評価の読み方。OpenAIは、以前のモデルより良くなった点と、一部の分野で後退した評価の両方を公開し、後退した分の回答は手作業で確かめて、おおむね重大度は低かったと説明しています。社内で使う時の決まりは、この評価とは別に自社で決めます。

回答の中で道具を作る機能とは別に、ChatGPTの中で動き続けるAIに仕事を任せる仕組みも出ています。任せる仕事と手元に残す判断の分け方は、OpenAI Dotsの経営者向けガイドで整理しました。

ChatGPTが道具を作るのが速くなっても、外に出る数字に責任を持つのは会社です。誰が作り、誰が確かめるかを1行ずつ決める。その準備ができた業務から試していけば、無料版の社員がいる会社でも慌てずに進めやすくなります。AIに任せる仕事の棚卸しから進めたい場合は、LeadfiveのAI導入支援で、対象の業務と確かめる場所を一緒に確認できます。

よくある質問

無料版のChatGPTでもGPT-6は使えますか

公式の発表とリリースノートでは、無料版とGoには10月7日の翌日から順次提供が広がり、GPT-6 Lunaが使われます。ただし、10月6日に始まった音声ファイルのアップロードは有料のプランとワークスペースが対象で、すべての新機能が無料版に来るわけではありません。

Proの推論オプションでも図やボタンを含む回答は出ますか

リリースノートでは、Proの推論オプションは引き続きGPT-6 Astraを使い、Intelligent UIには対応しないと書かれています。図やボタンを含む回答は、InstantからExtra Highまでの考える深さの段階で使えます。

ChatGPT WorkやCodexも今回の更新で変わりますか

公式の発表では、WorkとCodexを動かすモデルは今回の更新では変わりません。安全性の文書でも、CodexやChatGPT Workでは以前に出た版が使われ続けると説明されています。

参考資料

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